6月のある晩、自転車関係の友人からメッセージが入りました。「チタンフォーク、製造するってよ。」「一本頼む」と秒で返信。
チタンフォークとは、私がこの1年乗っているモノラルバイク純正のGR用オールチタン製のフロントフォークのことです。
私がこの自転車のフレームを手に入れ組んだのは昨年の10月ですが、その時はフロントフォークは中古のカーボンフォークを利用しました。中古とはいえワンバイエスのグラベル用カーボンフォークですので、間違いのない製品です。
それから1年、日帰りライドから輪行キャンプツーリングまで大活躍の自転車です。基本的にはチタンフレームのカッコ良さ、グイグイ進んで行く点など非常に気に入っているのですが、キャンプ装備を満載した時のフロント周りのブレだけが要改善点でした。
その後5月にフロントホイールをより高耐荷重にモノに変更して、ブレの症状は改善したのですが、まだ下りでの若干のブレは残っています。
ホイールを替えてもブレを完全に解決できなかったということは、残る原因はカーボンフロントフォークにあると考えるのが自然です。そのため、よりフォークの剛性を高くすることができそうなモノラル純正のGR用チタンフォークにはとても興味がありました。
しかし、モノラルバイクは自転車自体が大量生産品ではなく、チタンのフロントフォークは更なるオプションという位置づけなので、いつもほとんど在庫がありません。オーダーや引き合いがある程度まとまったら中国の工場に発注をかけ、そのバッチが売れたらまたしばらく次のバッチの発注の状況が整うのを待つ、というスタイルのようです。そのため、モノラルバイクのオンラインショップを見てもいつもチタンフォークは在庫切れの状態となります。
幸い、古い自転車関係の友人がモノラルバイクと近しい関係のため、その友人に「次回、チタンフォークを製造する際には声をかけてほしい」と頼んで気長に連絡を待っていました。その連絡が入ったのが冒頭の6月のことです。
注文して約1か月後の7月に自宅にチタンフォークが届きました。しかし、その後ツーリングの計画などが入り(雨で中止になってしまいましたが)、なかなか良いタイミングが見つからず、結局ショップに交換をお願いできたのは高知のキャンプツ―リングから帰ってきた10月中旬になってしまったのでした。
それまで利用していたカーボンフォークとチタンフォークを比較すると、さすがにチタンフォークの方が剛性は高そうです。が、半面重量は結構重くなっているのが手に持っただけでもわかります。計ってみると、カーボンフォークは470g、チタンフォークは830gですので、チタンフォークの方が360g重いですが、メリット(剛性)を考えるとキャンプツーリング中心の私の利用方法にとっては許容範囲でしょう。(チタンフォークのメーカー公表は790gで実物が若干重い計測値になっていますが、これはチタンフォークにはフロントキャリアなどを取り付けるためのダボのねじが付いた状態で計測していることが一因かと思います。また、カーボンフォークはコラムをカット後、チタンフォークはカット前の重量であるため、実際の重量差はもっと小さくなっています。)
今回は、組んでから1年の各部オーバーホールも兼ねてショップに交換を依頼しましたが、作業が完了し引き取りに行った時に「チタンのコラムが硬すぎて、金鋸の歯が一本ダメになってしまいました」と聞き、失礼ながら自分でやらないで良かったと思いました。金鋸の歯の代金はしっかり請求されましたが(笑)あと、受け取り時の注意として「チタンとアルミのネジは固着することがあるので、アクスルなどのネジ部分にはスレッドコンパウンドを必ず塗ってください」とのことです。勉強になりました。
戻ってきた週末に早速試乗してみます。走り出してまず最初に感じたのは「硬!」剛性アップを狙ってチタンフォークに交換したのですから、ある意味想定通りの結果なのですが、自分の他の自転車も今はカーボンフォークばかりなので、久々のリジッドな金属感です。この時は前輪の空気圧をMAX(4.0bar)まで上げていたので、余計に硬く感じたのでしょう。そこで、前輪の空気圧を触感で3.6barあたりまで落としたところかなりマイルドになりました。今後は前輪の空気圧は3.6barを基準にしようと思います。あとは積んでいる荷物の重さに応じて調整します。
走りは軽快で重量増の影響は感じません。登り坂も入力がよりダイレクトに推進力に変換されている感触です。フロントフォークを剛性の高い物に変えると登りが楽になるとは少々意外でした。(私の感覚だけが根拠ですのでホントかどうかはもちろん怪しいです。)
もう一つ、このチタンフォークでうれしいのは、フロントにラックやキャリアを取り付けるためのダボが両サイドに3つずつ用意されていることです。これまで使ってきたカーボンフォークは2つずつでしたが、私が使っているオルトリーブフォークパックのラックの様に3つのダボ用に設計されている場合は、足りない1つ分はステンレスベルトを使って固定する必要があり、ラックを外したり付けたりが若干面倒くさかったのです。これからは洗車やメンテの時にラックを外すのもかなり簡単になります。
その日は80kmほど走ってみましたが結果には大満足です。次のキャンプツーリングでフロントのブレがどのように改善されているか確認するのが楽しみです。
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